沖縄宇宙通信所
沖縄の地図を見ていたら「人工衛星追跡管制所」というのを見つけた。
いやー、世の中にはホントいろんな所があるなーと感心しつつ調べてみたら、現在は「沖縄宇宙通信所」に名称変更されていた。なんだか地球外生命でも探査していそうな名前である。きっと間接的にはお世話になっているのだろうけど、直接は宇宙にも人工衛星にも馴染みのない生活を送っている自分。
勝手に沖縄シリーズ第2弾は、社会科見学のつもりで「沖縄宇宙通信所」へ。
カーナビを頼りに進んでいくと、ガードレールもない細い道へ。わさわさと生い茂る木々を眺めつつ、ホントに辿り着けるのかと不安にかられた頃、パラボラアンテナが現れた。おお、すごいぞカーナビ。後からわかったのだが、裏道を案内されていた。国道沿いに看板が出ているルートもある。
入口にある看板の上には、沖縄らしくシーサー。それにしても、えらく立派な社名の入った石碑だ。
ところで独立行政法人と、宇宙航空研究開発機構とはどういうものか。
日本の宇宙関係の仕事というのは、なかなか微妙な位置づけのようだ。組織名称がよく変わったり、統廃合が行われているところからしても、そんな様子が垣間見える気がする。
ところで、この通信所の主な業務は人工衛星の追跡と管制、ロケットテレメトリデータの受信。ロケットテレメトリデータというのは、電波で送られてくる衛星やロケットの本体及び内部機器に関する種々の情報のこと。
名称変更される前の「人工衛星追跡管制所」の名の通り、打ち上げられた人工衛星からの電波を受信し、その位置や姿勢、積んでいる電子機器が正しく働いているかどうかを知る。そして状況に応じて衛星に対するコマンド電波を送信し、衛星を維持管理しているのだ。
敷地に入って最初に目に付くのは、そんな電波を送受信するパラボナアンテナ。直径30メートルと18メートルの2基ある。下から見るとその大きさは圧巻。
通信所内は、無料で見学させてくれる。入口で名前を記入し、見学者バッチもらう。夏休みということもあってか、親子連れがちらほら。宿題の自由研究は人工衛星ってところだろうか。
内部は放送衛星の試験機、人工衛星の軌道解説装置が見られる展示室。宇宙開発に関するビデオ、アニメなどの視聴が可能なビデオルーム。宇宙関連図書が自由に閲覧できる宇宙情報ルームの3つで構成されている。
馴染みのない人工衛星だと思っていたが、展示室を見て回ると気象衛星「ひまわり」による天気図や、衛星放送、意外に普段お世話になっていることに気づく。
そして人工衛星の追跡管制を行う運用室の様子を、ガラス越しに見ることができる。人影はなく、マシン室って感じだ。
宇宙というスケールに比べて、結構地味な仕事の場所である。実はひっそりと地球外生命の探査とか、既に宇宙人と交信していたら凄いのだが。
一通り見学した帰り際、運用室の隅にUFOキャッチャーにいそうな、頭に星をつけて笑っているぬいぐるみに気づいた。
後から調べてわかったのは、彼(?)は宇宙の日のマスコットキャラクター「星ノ介くん」。ちなみに日本人宇宙飛行士が、スペースシャトルで宇宙へ飛び立った9月12日が宇宙の日。世の中、まだまだ知らないことがたくさんある。
ある時テレビのニュースで、その年の印象に残る出来事をモチーフにした雛人形「変わり雛」を紹介していた。いくつか置かれている変わり雛の中に、一瞬火星人と思われる「変わり雛」が映った。
「火星人!火星人!」とテレビに向かって一人騒いでいたが、何故か火星人と思われる「変わり雛」については一言も紹介せずにニュースは終わった。
火星人の「変わり雛」は極端な例かもしれないが、宇宙事業に関するニュースをあまり目にすることがない。土星の探索だとか、火星の映像がなんだとか、米航空宇宙局(NASA)の華々しいニュースとは対照的に、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で思い当たるのは、ロケットの打ち上げに失敗し続けていることだ。
きっと肩身の狭い思いをしているに違いない。もし既に宇宙人の襲来にあい、宇宙航空研究開発機構の人達が戦って平和を維持していたとしても、それはそれで報道されないだろう。
JAXAは、ロケットの打ち上げに失敗して研究開発費用がかさんでいそうだが、一施設であるここの見学は無料。
宇宙を身近に感じたい、宇宙を知りたいあなたにお勧め。