鳥羽SF未来館
残念ながら2000.5.21に閉館されました。
伊勢にある「元祖国際秘宝館」の姉妹館である「鳥羽SF未来館」。
伊勢から鳥羽までは近鉄特急やJRで20分程と近く、駅からも徒歩約3分くらいで着くので、是非セットでお楽しみいただきたい。ただし、1日に両方を見て回るとかなりヘビーだと思われるので、できれば2日に分けることをおすすめする。
海とは反対側の、土産物屋が連なる先に鳥羽SF未来館はある。外観は伊勢の元祖国際秘宝館に比べて、かなりこじんまりした建物だ。夜になるとネオンがつくのだろうか?ちょっと怪しげな雰囲気だが、相変わらずここの壁にも秘宝オジサンがいる。
入口では、手のひらに包まれたカプセルに入っている全裸女性がお出迎え。全裸というのが秘宝館だが、手のひらに包まれたカプセルというのが、非現実的でSFっぽさを表現しているのかもしれない。宝くじ売場みたいな小さな券売所があり、入館料を払うと半券をちぎったチケットをくれた。「お色気の元祖国際秘宝館 鳥羽館」と書かれた下には「地球滅亡にはじまる生命のドラマ SF未来館」とある。
この秘宝館は1Fが入口。2Fが「SF未来館 新人間製造」、3Fが「過去館 東海道五十三次」、4Fは「日活ロマンポルノ 大スクリーン上映中」という構成になっている。打ち出している未来以外にも過去、現代?ありで楽しめるようになっている。
かなりテーマがはっきりした秘宝館だ。
残念ながら、撮影禁止です。今回も気合いの入ったイメージ画像でお楽しみください。
「地球滅亡にはじまる生命のドラマ」に心躍らせながら、階段を上がっていくと2Fの入口には、ここのコンセプト?が書かれたパネルがある。要約すると「1999年、地球はノストラダムスの予言通りに滅亡し、姿を消そうとしている。そこへ宇宙の星を征服したヒトリー将軍が、人類の再起をかけて新人間の製造を行うことにした。生き残った人間を狩り集めて、いろんな技術を施し、その裏には宇宙制服の野望が渦巻く。」というようなことである。
1999年・・・今年だ。ということは、これから目の当たりにする光景は自分たちの明日かもしれないのだ。これは凄い。
そのまま奥へ進もうとすると、成人映画がのぞけるコイン投入式機械があった。映画のタイトルは「愛染恭子の白日夢」。何で急にここにそんなものがあるのか?そういえば、他の秘宝館にもこの機械があったなと思った。秘宝館に愛染恭子あり。
しかし、彼女のホームページ。プロフィールに生年月日がないのが気になる。
最初は人間狩り。瓦礫だらけの中で、ピンクレディーのUFOの衣装みたいなのを着た男が、裸の女性を縄で縛って連行しようとしている。しかし、またしても女がブサイク。泣き叫んでいるような表情なのかもしれないが、口の開け方がエロい。どうみても、縛られて喜んでいるようにしか見えない。男は単なるマネキンのようで、対照的な無表情さがなんとも言えない。
ここで狩り集められた人間は、次のコーナーで選別と抹殺される。コンピュータが壁一面に置かれた宇宙基地みたいなところで、ウルトラ警備隊とかスタートレックとか、そんな感じの衣装を身にまとった男女がいる。その前で、程度の低いダメ人間がカプセルの中でバラバラになり、焼けただれて抹殺されている。
各展示には親切に解説がついているが、これがいちいちツッコミを入れたくなるような文章だ。しかし、それはそれで面白い。
床にあるセンサーを踏み各コーナーへ進むため、一応仕掛けが動くようになっているらしい。コンピューターの針がグルグル回ったり、ランプが点滅したりするが、ほとんどのコーナーでブーンという音はするものの、仕掛けが動くことはまずない。
そして、選ばれた人間は改造され、強制搾取と注入をされる。もう、とにかくすごい光景が続く。手かせ足かせを付けられてベットに横たわり、股間に取り付けられた機械からはホースが伸びている。横でいやらしげに見ているのは、ヒトリー将軍の部下だ。誰がどう考えても、明らかにナチスを意識しているのがわかる。
その後、新生児が誕生し、成人へと成長する。この過程がまたすごい。縦長のカプセルの中で立ったまま口にホースを加え、股間にもホースがついている。これが、コドモからオトナまで順番に並んでいる。
最後に将官たちは、作り出した人体の肉体のすばらしさに、美女を選りすぐってセックスと酒の日々に溺れる。ということで、カツラのずれた男性マネキンの周りに、またしてもブサイクな半裸の女がはべっている。
向かい側には、超未来人間という巨大な女性が立っている。両性具有ということらしい、超未来人間。そして、ここでSF未来館は終わるのである。結局のところ秘宝館だから、エロ一色だ。SFも近未来も、人間の煩悩にはかなわないのだ。
3Fは一転して過去。東海道五十三次と名付けられたその場所は、吉原のおいらんやら大井川の女郎など、遊郭の雰囲気が続く。箱根峠で娘が犯されていたり、岡崎では夜鷹と呼ばれる女郎が、男に股間をのぞかせていたりする。
中でもここのオリジナリティ溢れるのが「伊勢の海女」。
海中で海女さんがカッパに犯されているのである。カッパって海にいるんだっけ?という疑問はさておき、オープン当初は、なかなか凝った仕掛けであっただろう形跡を発見した。前面のガラスが二重になっているので、間に水が入っていたと思われる。そして、空気を送り込んでブクブクと空包が立つような仕掛けになっていたのだ。放置された水槽にありがちな、白っぽい水あとが残っている。
たぶん維持費がかかるから、今はやめてしまったのだと思う。ちょっと残念。
伊勢と同じく陰部神社。潮吹き、玉なでという参加型アトラクションもある。そしてお約束なのか、大抵どこでも必ずある「保健衛生コーナー」。体位とか性病とかそんなのが紹介されている。
正直言って、あっという間に終わってしまった。
4Fへの階段には「日活ロマンポルノ大スクリーン上映中」の看板がある。成人映画は見るつもりがなかったので、そのまま帰ろうかと思ったが、1,350円払ってこれだけ?という思いもあったので、とりあえず4Fへ上がってみることにした。
4Fへ上がると薄暗い中に人が立っていて、予想外の出現に一瞬びっくりした。「初代社長 松野正人」の晩年の蝋人形だった。その横には、若かりし頃の松野正人ということで、自分の性器を鯉にくわえさせている人形がある。
その奥には、炭坑で働く男女が絡んでいたりして、大スクリーンはどこだ?
ついたてで仕切った場所があるので、入ってみてまた驚かされる。怪しげなお姉さんがこっちを向いて座っているのだ。もちろん蝋人形。そしてパイプ椅子が乱立する中、レジャーシート1枚分位の大スクリーン。しかも映写機が故障しているのか、スクリーンの前に置かれた家具調テレビで映像が流れている。
ああ、4Fを見逃さないで良かった。
後から男性2人連れが入ってきたので「すごいよ、大スクリーン」と家具調テレビを指さすと、爆笑していた。
ところで、ここで流されている「日活ロマンポルノ」。途中からちょっとだけ見たのだが、これがかなり面白かった。
着物姿の奥さんが自宅の居間で、夫の会社の山田さんとビールを飲みながら話をしている。明らかに奥さんは山田さんを誘っている。「お嬢さんがもうすぐ帰ってくるから・・・」と山田さんは遠慮がちだが、奥さんは「まだ大丈夫よ」と言い、ソファでコトが始まる。そこへセーラー服の女子高生が帰宅。部屋の雰囲気が怪しいことに気がつき、こっそりのぞく。
奥さん(女子高生の母親)と山田さんがやっている。でも、山田さんはパンツをはいたままだ。おまけに後ろを向いた山田さんの頭は、円形にはげていた。そして奥さんが腕を上げてのけぞると、脇の下にはしっかり毛が生えていた。
モザイクはおろか、たぶん前張りもしているんじゃないのかー?というぐらいガードが堅い。しかも、全然気持ちよくなさそうなのに、奥さんは「いいー」と言っていた。女子高生はのぞくのをやめた。
しばらく見てから「これに出演していた人たちは、今どこで何をしているんだろう?」と考えた。そして、日活ロマンポルノもいやらしいとかエッチとは程遠くて、今となっては笑えるものになってしまったんだと思った。
秘宝館にエッチな映画はつきものだが、強制的でなく自発的に見たのはここが初めてだった。たぶん、日活ロマンポルノだったから見られたのかもしれない。パンツをはいたままの山田さんとか、脇毛を処理してない奥さんとか、そういうのが何だか安心感を与えてくれた。
外へ出て、もらったパンフレットをよく見てみる。今見てきた光景が写真で紹介されている。しかし、凄いことを発見した。
このパンフレットに紹介されている写真に映っているのは、マネキンでも蝋人形でもない、本当の人間なのだ。金髪のお姉ちゃんが縛られているし、行水している女にはあばら骨が見える。
もしかして、オープン当初は実演だったのか?!このパンフレットには、そう思わせる何かがあった。きっちりとしたテーマと実演。素晴らしいぞ、SF未来館。
帰り際、駅からの曲がり角にあった「赤福」に寄った。夏しかお目にかかれない「赤福かき氷」を食べるためだ。大量に赤福を買い込んだおばちゃんの大群が、店内の半分以上を占領していた。おばちゃんは話が長い。食べ終わっても、なかなか席をたたない。自分に優しく人に厳しい。座ろうとすれば「あ、ダメ。そこ人が来るのよ」と言われる。
仕方なく店の隅っこに座って「赤福かき氷」を食べた。アズキが嫌いな自分でも、赤福かき氷は問題なくクリアできた。おいしいお茶を飲みながら「そういえば駅前でサザエ焼いてたな」とボンヤリ考えた。伊勢では味わえなかった心地よいシビレと疲れがあった。
鳥羽は海が見渡せとてもいい景色だ。「デコラ観光船」で島めぐりをしたり「海女さんショー」を見たり、ミキモトパールで真珠を買ったり「鳥羽水族館」でラッコを見るのも楽しいかもしれない。
「何だ、意外と観光できるんだ、鳥羽」という感じだ。しかし、実際に自分はどれも体験していない。今思えば、真珠ぐらい買えば良かったかもしれない。真珠には目もくれず、帰りの電車を待つ間、ビールを飲んで焼きサザエを食べて終わってしまった。
まあそもそもの目的が「SF未来館」だったのだから、鳥羽はいい思い出で一杯だ。また行きたい、鳥羽。というかSF未来館。