スッポン堂本店
赤地に金の文字で「スッポン堂」と書かれたかなり強烈な看板は、ある時は国道沿い、ある時は駅周辺、ある時はデパートで、誰でも一度は目にしたことがあるように思う。
その本店である。看板並みのインパクトの強いところを想像し、かなり楽しみにしていたのだが・・・たどり着いてみれば「新年は2日より営業いたします」の張り紙。年末年始休みであったのである、スッポン堂本店。がっくり。
休みの始まりは不明だが、訪れたのは年内最後の月曜日。もしかしたら年内最後の日曜までは営業していたかもしれない。この勝手な推測からすると、わずか4日間の休みにわざわざ訪れてしまったのは、ある意味貴重な経験といえよう。
と、強がってみたところでどうにもならないのだが、せっかくなので一部ご紹介することにする。
尚、休みに訪れてしまったため、所在地(石川県加賀市熊坂町ヤ22)以外の詳細情報はありません。
個人的にはスッポンというと、精力増強の性的イメージしかなかったのだが、スタミナ抜群で美容と健康にいい高栄養素食らしい。いわゆる、滋養強壮。ただカラダにいいといっても、高価なのもあって身近な食材ではない。
そんなスッポンを養殖し、オリジナル開発商品を販売しているのが、「スッポン堂」なのである。北陸には本店以外に、専用のスッポン養殖場もある。
ところでこの本店、店の前にあるスッポンの後背位交尾像がかなり目を引く。実際このカッコで交尾はしないと思うが、看板同様に強烈。訪れた人のハートをわしづかみだ。
そしてこのスッポン堂、熊坂長範なる人物の生誕の地として加賀・熊坂のアピールもしている観光ドライブインなのである。
スッポンの背中にも書かれている熊坂長範とは、源義経伝説に出てくる大盗賊。盗賊とはいえ、大名屋敷から金を盗み貧しい者にバラまいていたらしく、きっと貧しい民衆からは人気があったに違いない。
また「熊坂長範屋敷」なるものまであり、団体様はここで記念撮影ができるようである。撮影が終わったら、スッポン製品の販売所へスムーズに移動できるようにか奥に扉があり、観光ドライブインにありがちな見事な順路である。
ちなみにの熊坂姓から、他には信濃・熊坂も生誕の地としてアピールしているらしい。浦島伝説が日本各地にあるのと同じようなものか。
熊坂長範の処刑
石川五右衛門の処刑
鼠小僧次郎吉の処刑
さて、建物の出口付近には熊坂長範の処刑の方法が描かれたパネルをはじめ、この時代の拷問図解がずらっとならんでいる。
長範は平清盛を狙うが果たせずに捕らえられ、京の四条河原で牛二頭による股裂き「牛裂きの刑」。三大盗賊と言われた残りの二人、石川五右衛門は京の三条河原で「火責め・釜ゆで」。鼠小僧次郎吉は江戸・鈴ヶ森で「磔(はりつけ)の刑」に処されたとある。いやはやなんとも残忍なのであるが、色づかいと絵柄がいい具合にマッチしている。
以下は、拷問の順番と簡単な解説をパネルとともに。
拷問-1- 笞打
第一回の拷問。諸肌脱がせて太縄で縛ってムチで打つ。
拷問-2- 石抱
笞打で白状しない場合。あごの辺りまで届くように膝の上に石を載せる。
拷問-3- 海老責
数日経って囚人が回復したら手を背後にし、両脚と顔を密着させるまで縄でくくる。
拷問-4- 釣責
最後は釣しに。手を背後に梁から吊すと縄が次第に食い込み、最も耐え難い苦痛に。
女改め-1- 毛先改め
前髪を置いた男子か、本当の女かどうか、また黒髪の中に何か隠していないか調べる。
女改め-2- 乳房改め
女に紛らわしい者は、乳房を探って本当の女か調べる。
ちなみにこの拷問・処刑具などは、明治大学博物館の「刑事部門」で実際に今でも目にすることができる。
後日、実物をちゃんと見てきたので、こちらはまた別の機会に。(2005.2.更新しました。)
はるばる北陸まで出かけたものの、年末年始の休みに勝手にしてやられてしまった今回。スッポン堂の中が見られずに帰った悔しさは、是非ともリベンジしたいと思っているので、こちらもまたの機会に。(2007.1.更新しました。)