飛騨鍾乳洞・大橋コレクション館
行ったことのない「県」に行こう。勝手に岐阜シリーズ第2弾は、飛騨・高山へと足を伸ばし「飛騨鍾乳洞・大橋コレクション館」へ。
時は3月。岐阜羽島でレンタカーを借りる際、周りには雪はなかった。念のため「雪の心配はしなくても平気ですか?」と、受付のお兄さんに聞いてみる。行き先を問われて「飛騨・高山」と答えると「タカスより先は別世界だから、ノーマルタイヤじゃダメですよ」と、そそくさとスタッドレスタイヤ装着の車輌へ変更してくれた。さすがプロ。
「関ヶ原ウォーランド」を堪能した後、飛騨へ向けて東海北陸自動車道をひた走る。山地部を通るため、トンネルが多く更には標高が高い高速道路だ。お兄さんが言っていた「タカス=高鷲」を超えた辺りから、見える景色が徐々に変わってきた。
飛騨清見ICを過ぎる頃には、ワイパーが降る雪をひっきりなしに払いのけ、周りはすっかり雪景色。あぁ、ホントすいません。春先の雪をナメてました。トヨタレンタカーのお兄さん、本当にどうもありがとう。助かりました。
おっ、雪♪
びっしり、雪...
うわー、雪!!!
さて、見渡す限り雪景色の山道を進むと、開けた場所に現れる「飛騨鍾乳洞・大橋コレクション館」。故・大橋外吉氏が発見した鍾乳洞「飛騨鍾乳洞」と、大橋氏が集めた世界中の美術品や数々の鉱石や化石等が1,000点余りも展示されている「大橋コレクション館」の2つがセットになった観光スポットだ。
大橋氏が石を求めて山に入り、この鍾乳洞を発見したそうなので、まずは自分のコレクションを見せ、次に鍾乳洞を見学するという順路になっている。
尚、料金は鍾乳洞とコレクション館共通で、コレクション館は撮影禁止。
コレクション館は、大橋氏の石に対する熱意とマニアっぷりを存分に堪能できる場所である。
実は、ここに来る前に古今珍品を扱う「珍品城」(後述参照)で、大量の古美術品を見てきた。真贋を見極める眼も、石の良さを見極める眼も持っていないので、古美術ってこんな高いのか!とビックリしながら眺めてきたのだが、そのスゴイ値段がしたのと同じようなものが山ほど展示されているのである。鉱石や化石を始め陶磁器、象牙など、まあ これだけ集めたら見せて自慢してもいいかなってぐらいの質と量だ。更には美術館なみに行き届いた空調や湿度管理で、明るくて綺麗な館内である。
大橋氏を紹介するコーナーもあるのだが、本人の胸像はともかく螺鈿と真珠で作られた家紋なんて、はじめて見たよ。
ところで、2007年にはここに展示してあった100kg近い金塊(時価・2億7千万円)が強奪にあった。事件当時はニュースでも取り上げて話題になっていたが、この事件を報じた新聞や盗まれた金塊の写真があるのを見て(※注)、あの事件が起きたのはここだったのかと気づいた。テレビで見るのと実際に行って見るのでは、やはり全然違うものだなと実感。
注)犯人は捕まり金塊も返却されているが、訪れた2008年3月現在、金塊はまだ警察から返却されていなかった。現在は、溶解されて形が変わってしまった複数の塊と、強奪前のレプリカが展示されているそうです。(→Wikipedia 大橋コレクション館)
きらびやかで快適なコレクション館を後にすると、高架通路を通って飛騨大鍾乳洞へ。
飛騨大鍾乳洞の内部は、第1洞〜第3洞の3つに分かれている。初級、中級、上級といった具合に、奥に進むにつれて足場が悪くなるのだ。そんな状況なので、もちろん第1洞の出口で出てきた。
第1洞しか見てないのにアレなのだが、ここでの見所は天井からモヤシが生えたような形状の「ヘクリタイト」と呼ばれる鍾乳石。鍾乳洞のイメージは、地面から突き出たちんこみたいな形状のものだったり、天井からつらら状に垂れ下がったものだったりしたのだが、ヘクリタイトはまさにモヤシ的な細さで、適度にうねうねとした枝のような感じ。
日本に数ある観光鍾乳洞の中で、飛騨大鍾乳洞は日本一標高の高い場所に位置する。3月でも雪で真っ白な標高の高い場所が、はるか昔は海だったとは・・・恐るべし自然。
観光鍾乳洞は「秋芳洞」と「玉泉洞」にしか行ったことがないのだが、この飛騨大鍾乳洞も他と同様に綺麗にライトアップされているし、規模としてはそこそこ大きい方だと思う。
まあ、鍾乳洞はどこで見ても同じような気がするし、湿っぽくて生ぬるい洞窟ってのが好きになれないが、いつか全国制覇してみたい観光ジャンルのひとつである。
第1洞で鍾乳洞を後にし、駐車場に戻るまでの通路から自然が作り上げた氷柱が見えた。滝が凍りつき、そこに雪が降り積もっているのだ。螺鈿と真珠で作られた家紋に続き、こちらは天然ものだが、こんなのはじめて見たよ。
鍾乳石、鉱石、自然が作り上げる凄さを実感できる万人向けの観光スポットである。また、冬に行くならこの天然の氷柱もあわせてオススメしたい。